元ホンダのカビルくんが亡くなったと聞いたのは、山口にいたときだった。 都大路1区で、いきなり2分35で入って、土橋くんや佐藤くんのペースを崩したこと、札幌ハーフでの優勝、そして十八駅伝のアンカー、上りの区間をまるで平地のようにぐいぐいと登っていく姿、いろいろなことを思い出していた。 15歳でケニアを離れ、日本での生活。 ケニアのご両親のことを思うと、胸が痛んだ。 身体も心も成長する時期に、異国へ行ってしまったこと。 そして帰ってきたのは、病気療養のため。 わたしはカビルくんの病気がそんなに深刻なものとは知らなかった。 ホンダを退社されたとの情報にも、いつかまた走っている姿が見れますようにと思っていた。 だから、訃報は突然のものでびっくりした。
山口から帰って、ホンダの掲示板をみると、カビルくんが亡くなったというのはほんとうかという書き込みがあり、その書き込みに対して、「なぜ、そういうことを書くのか」という書き込みがあった。 やっかいなことに、反論の書き込みは、同じPCから投稿されたもの。 自作自演ともいえる行為に思えた。
いろいろ考えて、わたしにも訃報が届いていることを書き込んだ。 カビルくんが亡くなられたらしいということを、あらためてメールを入れてくださった方もいれば、まだはっきりしていないことを書き込むのはおかしい、そんな限られた人しか知らない情報をなぜ知っているのかというメールが届いた。 カビルくんの死という重たい問題なのに、「真偽は」という別の問題になってしまった。 いったいわたしは何をしているのか、わからなくなった。
今日、月陸にカビルくんの訃報が載ったらしい。 はじめの書き込みも月陸関係からきているものと思われる。 わたしの情報提供のしかたに問題はなかったとは思うが、でも、そういう訃報を知って、情報に間違いがなかったことを安堵している自分がイヤになった。
なぜ、わたしが限られた人しか知らない情報を知っているのか、という問われ方をしたのは、ちょっとまいっている。 なぜ、そういうことを言われないといけないのか。 そういうことを言うなら、匿名ではなくちゃんと自分のことを明らかにして、言ってくれればよかったのにと思う。
わたしは、陸上ファンの人に何か役に立てばと思ってサイトを開設している。 ほとんど情報が流通しないなかで、少ない情報でも共有して、陸上を楽しめたらいいと思っている。 そういう人以外は、できればわたしには接点をもたないでほしいと思っている。 |
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